キツネ、カラス、鳥、豚、ハチ…。 考え得る感染源はすべて探した。 人類の英知をかけて。 「抑え込むことができる」という能力を少しでもウイルスの繁殖能力が超えたとき、誰かがそれに気づいたのだろうか? 僕にはもうわからない。 少しずつ時間をかけて、きっとこの町を囲い込んでいたのだ。 花火が暴発した夏の夜。 僕はもう助からないと悟った。 そして心に湧き上がり、刻んだのは、「生きたい」という思い。 食べたい、痛さを感じたくない、明日の朝も目覚めたい。 体が叫ぶ本能の声を、聞いたのだ。 できることは、逃げるだけ。 見えない敵から逃げ、生き延びたい。 もしまた、君に会えるのなら。 |
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